母ゾウが子ゾウに向けてゴロゴロと鳴く声の中にも「名前」がよく見られるという[ケニア・アンボセリ国立公園](C)REUTERS/Monicah Mwangi

[ワシントン発/ロイター]もしかして、ゾウは名前のようなものでお互いを呼び合っているのだろうか……? 5月10日に学術誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載された論文は、その可能性があることを支持している。

 研究チームが調査したのは、ケニアの野生のアフリカゾウ。アンボセリ国立公園とサンブル国立保護区に生息する100頭以上のゾウの声を分析した。対象としたのは主に、声帯から出るゴロゴロとした音で、ヒトが話すのと同様の発声方法だ。

 研究チームはまず機械学習モデルを使い、ゾウの発する音声の中に特定の個体を示す名前のような要素が含まれていることを特定。その後の実験では、17頭のゾウに音声を再生し、そのゾウに呼びかけていると考えられる声と、他のゾウに呼びかけていると考えられる声にどのように反応するかを調査した。

 ゾウは、自分に呼びかけていると考えられる声に対して、より強く反応した。このような音声を聞いたとき、ゾウはより積極的に行動し、音源に向かって歩き、多く発声する傾向があった。他のゾウに向けられたものと思われる音声を聞いたときよりも傾向は顕著だった。

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