砂漠に立ち並ぶ膨張式エアテントはそれぞれ縦横70mに及ぶ[哈密(ハミ)に設置されたエアテント](C)2021 Maxar Technologies

 中国の核戦略が大きな曲がり角を迎えている。

 米国をも上回る世界最大の兵力(2024年時点の推定では203万5000人)を擁し、質的にも近代化を進めてきた中国人民解放軍だが、核戦力だけは米露に大きく後れをとってきた。冷戦終結後、米露の核戦力は徐々に縮小されながらも依然巨大な規模を誇ってきたのに対し、中国のそれは、比較的小規模なままに留まってきたのである。

 以下の表に示すように、2000年代半ばまでの中国の核戦力は五大核保有国の中では最小であり、2010年代に入っても英仏とほぼ同水準であった。ところが2020年になると、中国の核弾頭保有数はフランスを抜いて世界第3位となり、2024年となると両国に倍ほどの差をつけるに至っている。

増える中国の核弾頭

出典:Federation of American Scientists, The Bulletin of the Atomic Scientistsより筆者作成

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