カマラ・ハリスはイスラエルの友か敵か？――問われる「説得力ある中庸」のイスラエル政策

イスラエルのネタニヤフ首相（左）と会談したハリス米副大統領は、イスラエルの自衛への強い支持を表明した上で、ガザでは「あまりにも多くの罪なき市民が死んでいる」と批判した［2024年7月25日、アメリカ・ワシントンDC］（C）REUTERS/Nathan Howard

　米大統領選から撤退したジョー・バイデンに代わり、8月2日、カマラ・ハリス副大統領が民主党の大統領候補の指名獲得を確実にした。その数日後には、「出身地は異なるが、価値観を共有している」とハリスが胸を張るティム・ウォルズが副大統領候補に正式指名された。

1. 勢いづくハリス陣営

　ハリスは、進歩的なカリフォルニア州生まれで検事としてエリートコースをひた走ってきた。これに対してウォルズは中西部ネブラスカ州に生まれ、公立高校の教職に就きながら24年間州兵を務めた後、40代で2007年に連邦議会の下院議員に就任、2019年にはミネソタ州の知事に就任し、現在2期目を務めている。下院議員時代は保守的な農村部の選挙区で勝利を重ねた実績を持ち、ミネソタ州知事としては、人工妊娠中絶の権利やLGBTQの権利の擁護、学校給食の無償化、有給休暇の拡大など、リベラル寄りで中間層重視の政策を次々と実施してきた。

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