そもそも笑止千万だった「ほぼトラ論」:「分断+僅差」の大統領選、かつてない大接戦で終盤へ
2024年8月30日

「ハリスが急伸」「トランプが失速」いずれも正確な表現とは言い難い (C)AFP=時事
アメリカ大統領選挙は11月5日の投開票まで2カ月となり、一気に本格化しつつある。民主党大会を経て、カマラ・ハリスの勢いは続いていくのか。一方、失速気味ともみえるドナルド・トランプは、どう巻き返すのか。混戦が予想される大統領選挙の行方を展望したい。
互角の戦い
最初から結論を言いたい。本稿を書いている8月末の世論調査の数字をみると、「トランプ対ハリス」は、どう考えても全く互角だ。それだけでない。おそらく当面は決め手がなく一進一退の流れとなるのではないか。
その理由はアメリカ世論がかつてない「分断+僅差」の状況になっているからにほかならない(これについては後述する)。
日本のメディアが使う「ハリスが急伸」「トランプが失速」という言い方も好ましくない。というのもそもそも「失速」「急伸」するほど大きく数字は動いていないためだ。
そもそも全くなかった「ほぼトラ」「確トラ」状況
私自身ずっと各種メディアで同じことを言い続けているが、今年の大統領選挙の世論調査の動向を見ると、「ほぼトラ」「確トラ」などというトランプが圧倒的に優位であるような見方は一日たりとも存在し得なかった。
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