日本同様、会計年度が四月に始まるインドだが、今年は五月に総選挙があったため、本予算案の発表は七月六日にズレ込んだ。その選挙で大勝したマンモハン・シン政権が打ち出した予算の目玉のひとつが、インフラ(社会資本)整備の拡充だ。 インドのインフラは、住宅・水道・通信から道路・鉄道・電力まで課題が山積。シン首相は、昨年末から三度繰り出した景気刺激策でも、その整備を柱に据えてきた。ただ、国内の税収にも海外からの対インド投資にも、かつての勢いはない。そのため、今回の予算案には財政赤字削減の棚上げと公共投資の上積みが盛り込まれた。 この姿勢に呼応するように、対印インフラ投資にも活気が戻ってきた。四月には豪投資銀行最大手マッコーリーが、国営インドステイト銀行と共同でインフラ投資ファンドを設立。年内に二十億―三十億ドルを集める計画だ。今年度も六%前後の経済成長を遂げる見込みのインドは、今の世界では希有な投資先。逆に投資元を選別するかのような動きさえ出てきた。 インドのアクシス銀行は今月、子会社が手がけるインフラ・ファンドで、提携相手である新生銀行以外の金融機関と組む意向を示した。新生銀は対印投資に前向きだが、あおぞら銀行との合併を決めるなど経営難が表面化。アクシス側はこれに対応した形だ。

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