[ベイジアン号の救助作業の模様=2024年8月20日、イタリア・パレルモ近郊のポルティチェッロ沖](C)REUTERS/Guglielmo Mangiapane

[ローマ発/ロイター]古代ローマ人は、様々な文化が交差した地中海のことを「我らが海(Mare Nostrum)」と呼んだ。現在、地中海には夏の行楽地として何百万人もの観光客や、スーパーヨットに乗る富裕層が集まるが、気候学者によると、地球温暖化により突発的で猛烈な嵐が地中海で頻発するようになっている。

 イタリア気象学会の会長ルカ・メルカリ氏は、沈没の数日前から、シチリア周辺の海面温度が約30度になり、通常よりも3度ほど高かったと指摘している。

「こうした変化は、嵐を激化させる巨大なエネルギー源となっている」(メルカリ氏)

 地中海の変化はベテラン船長たちも感じている。ローマ近郊の海岸でセーリングスクールを運営するマッシモ・アラム氏もその一人だ。

 アラム氏は、シチリア近くのティレニア海や、イビサ島やマヨルカ島を含むスペインのバレアレス諸島周辺を航海するのは好まないと言う。

「こうした場所では、危機的な状況が前触れなしに発生することがしばしばある」(アラム氏)

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