麻生政権の置き土産「官営日本航空」のデタラメ

執筆者:富山創一朗2009年8月号

JALを国が丸抱えし、政投銀の完全民営化は撤廃。非効率な官業経営のツケは国民が払うことになる。 経営難が続いている日本航空への政府の支援が決まった。「国民の翼を守る」というのが大義名分だが、背景には霞が関の官僚たちによる、利権を守るための猛烈な工作があった。日航を軸に航空利権を確保したい国土交通省と、日航への貸し込みで日本政策投資銀行を守りたい財務省が共闘。政治のどさくさに紛れて「逆転勝利」に持ち込んだのだ。 それは突然の決定だった。六月二十二日、河村建夫官房長官、与謝野馨財務相、金子一義国土交通相の三人が会談し、日本航空の事実上の国丸抱えの支援策を決めたのだ。日本政策投資銀行の金融危機対応融資を使い、六月末に一千億円、さらに十二月にも一千億円を融資し、もし損失が発生した場合には、政府がその八〇%を保証する、という内容だ。 三大臣が支援策を決めるに当たって、官僚たちはどんな“工作”をしていたのか。その一端が内部文書という形でマスコミに流れた。 時事通信社などが手に入れたその文書には、国交省が「(日本航空は)六月二十六日にも資金繰りに困難を来す見込み」と訴えていたことが記されている。そこには「融資が実行されない場合、資金繰りに困難が生じ、国政上の重要課題である航空ネットワークの維持・充実に多大な支障が生じる」と大義名分が書かれ、さらに、「日航を強力に指導・監督し、退路を断って経営改善に取り組む」との方針が示されていた。

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