中央銀行の廃止など過激な主張は鳴りを潜めた (C)Matias Lynch/shutterstock.com

 米ニューヨークにある国連本部で9月下旬、国連総会が開かれた。会場の壇上に立ったスーツ姿の男性は、ボサボサ頭を時折下に向け、手元に用意したペーパーを読んでいた。その途中、次のような一節が登場する。

「全ての人の生命、財産、言論、礼拝の自由を信じる。全ての国民が専制と抑圧から解放されて生きるべきだと信じる。この基本的な考えは、単なる言葉にとどまってはならない。自由を守るすべての国々の力によって、外交的、経済的、物質的に支えられなければならない」

 やたらに「自由」という言葉が強調された演説は数日後、「盗用だ」と大きな批判にさらされることになる。

 演説で使用した一節が、米の人気ドラマシリーズ「ザ・ホワイトハウス」(原題“The West Wing”)で、バートレット大統領役の俳優マーティン・シーンが放ったセリフとほとんど同じだったためだ。

 この男性の名は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領(54)。リバタリアン(自由至上主義者)を自称し、昨年11月の大統領選で当選、人口約4500万人の国の舵取りを担っている。

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