シリア政変、その後の中東世界に何が起こるか

Foresight World Watcher's 5 Tips

執筆者:フォーサイト編集部2024年12月14日
シリア内戦の「勝者」とされるトルコもいくつかの懸念を抱え込むのは避けられない[スピーチを行う「シャーム解放機構」(HTS)のジャウラニ指導者=2024年12月8日](C)AFP=時事

 今週もお疲れ様でした。12月8日に反体制派が首都ダマスカスを制圧し、バッシャール・アル=アサド大統領はロシアに亡命、2011年以来続くシリア内戦に終止符が打たれました。50万人以上が殺害され、家を失った人は1300万超、国外に逃れた難民は約620万人とされています。

 凄惨な統治を行った独裁政権の終焉ですが、シリアの内戦には複数の大国ほか様々な勢力が関与してきました。この政変の「勝者」とされるトルコ、反政府勢力を支援しながらもトルコとは利害の不一致があったアメリカ、アサド政権を支援してきたロシア、イラン。レバノンの親イラン武装組織ヒズボラにイランから送られる武器・弾薬はシリアを経由していますし、イスラエルはそのヒズボラのシリア領内の拠点を攻撃します。アラブ世界の中心部とも称されるシリア情勢の流動化は、新たな混乱の導火線に火をつけかねません。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領については、本日、二度目の弾劾訴追案が可決されました。大統領は職務停止、憲法裁判所が180日以内に罷免の是非を判断します。尹大統領に対しては手厳しい記事・論考が目立ちますが、尹氏が野党を“親北朝鮮”と非難したのに対抗する形で野党が唱えた“日本の協力者”との大統領批判が、韓国社会の反日感情に新たなうねりを生み出さなかいかも気になるところです。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事5本、皆様もよろしければご一緒に。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。