そのテロ事件直後の記者会見で、大統領選で圧倒的な強さをみせて再選されたばかりのインドネシアのユドヨノ大統領が、不用意な発言をして政治混乱を招いている。 会見したユドヨノ大統領は、「射撃訓練に使われた」とする銃痕の残る自分自身の写真を示し、「私を狙ったテロの演習を繰り返している集団がいる」と語った。テロの標的は自分だったと言わんばかりの口振りで、あげくに「私の再選を阻む勢力がいる」とまで言ったのだ。 発言は、テロが政治的背景、特に大統領選に絡む背景を持つとの見方を大統領自身が示したものと解釈され、大統領選を戦った対立候補陣営からは、一斉に反発の声が上がった。 メガワティ前大統領陣営などは即座に、「テロが大統領選と関連あるという証拠もないのに双方を関連づけるのは問題だ」と批判。とりわけ、メガワティ氏の副大統領候補として選挙を戦ったプラボウォ氏は国軍幹部で数々の秘密作戦、政治工作に関与してきた前歴があるだけに「事件への関与は絶対にない」と怒りも露わに厳重抗議した。 対米協調路線を取り、インドネシア国内のテロ組織壊滅に力を入れてきたことを自負していただけに、今回テロが起きたことへのショックが大きく、「つい先走ってしまった」とユドヨノ陣営は苦しい弁解をしている。だが、総選挙、大統領選で圧倒的勝利を収めながらも、対立陣営から「選挙に不正があった」と執拗に追及されることに苛立っていたところ、テロが追い打ちをかけたとも見られている。

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