イランは、トルコこそが水面下のHTS支援などで優位な状況を作り上げたと見ているだろう[テヘランで演説を行うハメネイ最高指導者=2024年12月11日](C)AFP=時事/HO /KHAMENEI.IR

 2024年12月8日、シリアでアサド政権が崩壊した。シャーム解放機構(HTS)が11月27日に北部の要衝アレッポへの攻勢を開始してから、12日間での首都陥落という急展開だった。

 これによって、1970年にクーデタで実権を掌握したハーフィズ・アサド時代から、息子バッシャール・アサド前大統領まで2代に亘り、50年以上続いてきたアサド政権支配に終止符が打たれた。

 政権批判した者らを「政治犯」として拘束・弾圧したといわれてきたサイドナヤ刑務所では、ジャーナリストらによって劣悪な環境が白日の下に晒され、「10万人以上」ともいわれる行方不明者らの遺体の存在が徐々に暴かれるなど、強権支配の内実に胸の痛む思いである。

 今般のシリア政権崩壊は広範な地域・国際的影響を与えると考えられるが、なかでも大きな影響を受けるのがイランである。イランは長らくアサド政権を支えてきており、特に、「アラブの春」がシリアに波及した2011年以降、関与を強めてきた。その意味では、イランは今次の動きでの敗者の筆頭格ともいえる。シリア政権崩壊はイランに一体どのような影響を与えるのだろうか?

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