第2次トランプ政権のスタートまでにドネツク州全体の占領を企図していたロシア軍だが、目標達成は難しい状況にある(筆者の分析に基づき編集部作成)

 来月24日、ロシアによるウクライナ本格侵攻から3年になるが、戦火が収まる様子はみられない。今月20日には第2次トランプ政権が発足する。持論である即時停戦に持ち込もうとするドナルド・トランプ次期大統領の意向を踏まえ、ウクライナ、ロシア両国ともに、少しでも停戦に有利な条件を獲得しようと、ここ数カ月にわたり激しい戦闘を繰り返している。本当に即時停戦となるのか、それともさらに泥沼状態にもつれ込んでいくのか、まずは戦線の現状を振り返った上で、この戦争の帰趨を決定するトランプ次期大統領、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領、及びウラジーミル・プーチン大統領の思惑から、その見通しを探ってみたい。

露軍のドネツク州全面占領には2年以上かかる

 昨年、ロシア軍が重視した作戦は、ウクライナ東部ドネツク州全域の占領であった。特に昨年後半は、交通の要衝でもあり、ウクライナ軍のドネツク州における防御の重要拠点であるポクロフスクの占領が攻撃の目標となっていた。しかし、8月6日にウクライナ軍がロシア領クルスク州に攻め込んで以降、戦局の焦点として、ドネツク州に加えクルスク州の奪回も重要視されてきた。

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