
選挙キャンペーンで幅広い有権者層から支持を得た分、実際の統治では難しい選択を迫られる[トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ・ワシントンDCの歓迎レセプションでメラニア夫人と花火を鑑賞するトランプ氏=2025年1月18日、アメリカ・バージニア州スターリング]
トランプ氏の大統領就任まで残すところ数日となった先週、海外メディアで目についたのはトランプ氏の掲げる政策の“読み返し”的な論考でした。特に保守系のメディアでは、トランプ氏が社会問題や外交などで示している現実主義的な軌道修正を評価する議論が多いようです。
「ネオ・トランプ主義」を語るのはちょっと気が早いような気もしますが、分極社会のそれぞれの場所でイデオロギカルな硬直が進むアメリカに、ある種の穏健さとプラグマティズムへの期待が生まれることは理解できます。ただ、それはトランプ氏の政権が多くの矛盾と複雑性を抱え込むことも意味するでしょう。たとえば、これまで政府支出の大幅削減を掲げるイーロン・マスク氏主導の政府効率化省(DOGE)が注目されてきましたが、一方で「伝統的共和党の新自由主義に凝り固まるな、いまは政府が支える国家経済政策こそが重要なのだ」といった議論を保守系識者が打ち出すところに、複雑性は早くも表れていると言えそうです。
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