トランプ政権は「中国シフト」できるのか
2025年1月21日

複数地域の危機に同時に対処できない今日の米国には、ウクライナでの戦争が続き、中東での戦争拡大の懸念が残る限り、対中シフトは難しい[大統領就任パレードの会場に到着したトランプ氏=2025年1月20日、アメリカ・ワシントンDC](C)AFP=時事
2025年1月20日、ドナルド・トランプ大統領による2度目の政権が発足した。この政権がいかなる外交・安全保障政策をとることになるかについて、世界が固唾を飲んで見守っている。不確実性への不安や懸念は多くの国に共通している。
新政権の外交・安全保障政策の優先課題や方向がみえつつあるなかで、特に緊急性が高く、トランプ自身の関心も高いとされるのが、ロシア・ウクライナ戦争の終結である。加えて、イスラエル・ガザの停戦の行方など、中東情勢への対応も新政権にとっては喫緊の課題になる。
結果として浮かびあがるのは、米国にとっての最大の挑戦が中国であることには米国内で広範な合意がありつつ、そしてトランプ次期大統領自身もそうした認識を示しているものの、だからといって実際に「中国シフト」がなされるとは限らない現実である。
中国に追加の関税をかけるような対応はいつでもできるかもしれない。しかし、世界のさまざまな地域に同盟国や戦略的利益を有する米国にとって、特定の地域や問題に戦略的に傾注できるかは、それ以外の地域の課題に左右されることが避けられない。重要だから集中できるのではない。トランプ政権の「中国シフト」に期待する向きのある日本は、この点をとりわけ強く認識する必要がある。
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