社長会見は何を間違えたのか 今からでも可能なフジテレビの危機管理法

―危機管理の専門家が忠告する―

執筆者:田中辰巳2025年1月23日
フジテレビ社長の会見は、ダメージコントロールどころか火に油を注ぐ形になってしまった[記者会見するフジテレビの港浩一社長=2025年1月17日、東京都港区](C)時事

 私は2017年6月29日、フジテレビの「ユアタイム」のインタビューを受けました。当時の菅義偉官房長官の危機対応について、「これは危機管理ではなく危機喚起ですね」というコメントを出したのです。まさか、それと全く同じコメントを、フジテレビの危機対応に向けて出すとは思ってもみませんでした。フジテレビは早く方向転換をしないと、取り返しのつかないことになってしまうと懸念しております。

 では、そもそもどのような危機対応をすべきだったのか? あるいは、今後はどのようにしたら良いのか? 報道されている範囲の情報を元に、その2点に絞ってお話をさせて頂きたいと思います。

いったん不祥事が起きれば、会社が100%傷つかないダメージコントロールは不可能

 1999年5月に上梓した『企業危機管理 実戦論』という書籍の中で、私は次のような記述をしております。「セクハラを防ぐには(1)事業主の方針の明確化とその周知・啓発(2)相談・苦情への対応のしくみを充実させる(3)セクハラが生じた場合には迅速・正確に対応する」の3点が大切だと。この考えは四半世紀を経た今でも変わっておりません。

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