化粧品国内最大手の資生堂に買収観測が急浮上してきた。買い手と目されるのは、日用品で世界最大の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)だ。 P&Gは医薬品部門を中心に事業整理を進めながら、アジアなど新興国向けを中心に、利益率の高い化粧品事業を強化している。特に国内総生産(GDP)世界二位浮上を目前にした中国で、高品質の資生堂製品は富裕層に人気が高く、買収はP&Gの新興国戦略と合致する。 P&Gはすでに、骨粗鬆症治療薬「リセドロネート」に関する特許や商標を約二百十億円で味の素に売却した。さらに、今年のリストラの目玉として、処方薬事業部門を三十億ドル程度で売却する方向で米医薬品メーカーや投資ファンドなどと交渉を進めているもよう。二件の事業売却だけで三千億円近いキャッシュが手に入り、M&A(合併・買収)の原資にできる。時価総額が六千億円規模の資生堂なら株式の約半数を押さえることが可能だ。資生堂と並んで買収先候補とされるコーセーなら全株式を買い取っても千百億円程度で間に合う計算になる。日本の化粧品メーカーは戦々恐々だ。

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