「総選挙の前相撲にされ、大迷惑だ」。七月に行なわれた東京都議会選挙の結果を受けて、石原慎太郎知事は記者団に怒りをぶちまけた。自民党が十議席減らし史上最低の三十八議席に落ち込む一方で、民主党は二十議席増やして初めて第一党の座を勝ち取った。与野党逆転の都議会。石原都政が抱える三つの課題は今後どうなるのか。 まず、建設予定地から高濃度の土壌汚染が見つかった築地市場の移転計画。民主党は都議会のマニフェストで「現在地での再整備を改めて検討する」としている。都は汚染された土壌を入れ替えるなどの方法で二〇一四年十二月のオープンを目指しているが、再整備となれば計画は振り出しに戻り、再開時期が大幅に遅れるのは間違いない。現在の敷地の売却代金を見込めないため、約四千億円の総事業費にさらなる税金が投入されることも確実だ。 また、マニフェストには「強引な移転に反対」とも書かれている。「強引」という曖昧な表現で、再整備が失敗したときに「緩やかな移転であれば賛成」という含みを持たせたともいえる。築地市場の現地再整備は二十年以上前に頓挫した計画だ。より良い案を出すことができるのか。まずは民主党のお手並み拝見というところか。

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