
米軍にとって敵対国に近い基地を守ることは、以前よりはるかに困難になっている[普天間飛行場を飛び立った米海兵隊のMV22オスプレイ=2023年11月30日、沖縄県宜野湾市](C)時事
市場はトランプ政策を織り込んだのか、まだなのか。2月半ばまでは史上最高値も更新する勢いだった米国株は、その後の急落で就任からの上昇分が消えました。背景にあるのは次々に繰り出される想定外への警戒ですが、自動車への追加関税と「相互関税」導入を宣言している4月2日を一つの山場に、この先も神経質な値動きが続くと見られます。
トランプ政権の予測可能性の欠如と不確実性に振り回されているのは国際政治も同じ。メディアでは当初の動揺がやや落ち着き、不確実性を前提とした議論も増えてきました。動揺するのにも飽きたという“悪い慣れ”に気を付けながら、論点を集めて行きたいところです。
「世界は過剰反応しているのでは?」「同盟国の首脳は時にアメリカを導かねばならない」「アメリカの軍事態勢の変化を安全保障にどう織り込むか」――。こうした議論をカバーした今回、特に印象的だったのは、アメリカは東半球に展開してきた軍を縮小して西半球に集め、代わりに宇宙から世界全域をカバーするのが得策だと説くスティーブン・ピーター・ローゼン氏の論考です。近年の軍事領域(ドメイン)の革新とトランプ政権のモンロー主義的傾向がどう結びつき得るかを示すと同時に、それは「これまで重視されてきた同盟関係でも、もはやメリットが低下したものがある」という問題意識にも直結しており、日米同盟に重い課題を投げかけています。
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