イタリア中部のラクイラ。今年四月の震災で三百人を超える犠牲者を出し、いまなお多くの人が避難生活を送る。余震が続き、安全も完璧とはいえない場所に世界の首脳を集めたG8サミット(主要国首脳会議)は、従来と様相を大きく異にした。 これまでサミット初日の夜は社交にあてられ、カップルで晩餐会に出席するのが慣例だった。昨年の洞爺湖サミットでは、福田首相夫妻がホストとなって、北海道の豊かな食材の料理でもてなした。この晩餐会は初参加の首脳にとって、夫人ともども他首脳夫妻と打ち解ける貴重な機会でもある。しかし今回、この饗宴が省かれたのだ。 しかも三日間の会期中、首脳らと夫人たちは完全に別行動で、ファーストレディーがベルルスコーニ伊首相に挨拶する機会もなかった。こんなスケジュールが組まれたのは、ベルルスコーニ首相とベロニカ夫人が別居していたからだった。 同首相は以前から女性問題でウワサが絶えなかったが、今年になって十八歳の女性タレントの誕生パーティーに行ったことが明るみに出て、ベロニカ夫人は夫のもとを去った。サミットで夫人の協力が得られなくなった同首相は、首脳とファーストレディーの行事を完全に切り離すことで、メディアの批判やからかいを浴びるのを避けようとしたとみられる。

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