規制だけで「派遣問題」は解決しない

執筆者:清水唯雄2009年9月号

 一九九九年の派遣法改正で派遣が原則自由化されて以来、柔軟な労働力を求める企業と自由な働き方を求める個人のニーズによって、派遣業界は急拡大してきた。しかし昨年秋以降の急速な景気減速により、派遣社員の失業が急増。派遣という働き方自体が問われるようになった。製造業派遣・請負の業界団体である日本生産技能労務協会の清水唯雄会長に、派遣業界の現状と今後の課題について聞いた。――派遣業界の雇用状況は。清水 製造業派遣全体でピーク時には百万人が働いていたといわれるが、昨年十月以降、六―七割減った。事務派遣は二割減だから、製造業の急減産の影響は大きかった。底を打った感はあるが、まだまだ厳しい。――昨年以来、「派遣切り」「雇い止め」が問題になった。清水 企業は業績が悪化すれば、切りやすいところから切る。中途解約はもちろん問題だが、契約期間満了の場合は仕方がない。 ただ、これまでは契約期間終了後に、次の仕事を紹介できていた。業界全体でセーフティネットが機能していたわけだ。だが、今回の景気後退局面はその限界を超えていた。「派遣切り」が批判されたが、派遣社員がいなければ正社員が解雇されていただろう。そうなれば、今回どころの騒ぎではなかったはずだ。

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