トランプ関税の大部分を差し止めるとする米国際貿易裁判所の命令を受け、政権高官たちは関税の継続は可能との見解を強調した[記者団の質問に応じるナバロ大統領上級顧問=2025年5月29日、アメリカ・ワシントンDC](C)AFP=時事

 

「倍返し」で交渉姿勢を硬化のリスク

 映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の舞台となった、2015年。1985年からタイムトラベルしてきた主人公のマーティ・マクフライが宿敵ビフ・ハワード・タネンの孫グリフに、「腰抜け(chicken)!」と罵られ、激昂するシーンがある。短気で臆病なマーティにとっては怒りで我を忘れる言葉となり、取り返しのつかない事態に陥るトリガーとして作用したが、ドナルド・トランプ大統領に向かって放たれれば、取り返しがつかなくなるのは我々の方かもしれない。なお、主人公の宿敵ビフのモデルはトランプ氏だというのは、あまりに有名だ。

 CNBCのリポーターは5月28日、米大統領執務室で行われたイベントでトランプ氏に「TACOトレード」についてどう思うか尋ねた。TACOとは「Trump Always Chickens Out(トランプはいつも腰抜け)」の略語。相互関税などショッキングな政策を繰り出すトランプ大統領の発言に、いちいち狼狽して売ってはいけない。いずれ政策は修正されるのだから、市場が大きく持ち直す動きに合わせてトレードすべきとの考え方だ。英フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニスト、ロバート・アームストロング氏による5月2日付のコラムに由来する。これまでのTACOトレードのケースとしては、以下の4つが該当すると言えよう。

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