誰がプーチンを裁くのか――国際刑事裁判所(ICC)が直面する「法の支配」への圧力
2025年6月7日

カーン主任検察官に続き、米国は6月5日に4人のICC裁判官を新たに制裁対象とした[ドゥテルテ前フィリピン大統領のビデオリンクを用いた初出廷に先立ち、発言を行ったカーン氏=2025年3月14日、オランダ・ハーグ](C)AFP=時事
ロシア・ウクライナ戦争の停戦に向けたドナルド・トランプ米大統領の仲介外交は、「就任初日に戦争を止める」と大統領選で公言していたトランプ氏の思惑とは裏腹に、行き詰まりを見せている。戦闘の終わりが見通せない中で「戦争責任」を論じるのは時期尚早のように思えるが、実は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻直後から、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の責任を問い、処罰を与えるための議論が関係国の間で進められ、最近も新たな動きが続く。大国による国際法軽視の流れに抗い、「法の支配」の回復につなげられるだろうか。
プーチン氏の責任追及の先頭に立つのが、オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)である。昨年3月に日本の検察官出身の赤根智子氏が所長に就いたことで、日本でも注目度が高まった。2023年3月、ウクライナから子どもを連れ去った戦争犯罪の疑いで、プーチン氏に逮捕状を出した。
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