トランプ大統領のイラン攻撃は、アメリカにとって(ウクライナはそうではないが)イスラエルが同じ文明「圏域」の中核的存在であることを示した[2025年4月7日、会談を終えネタニヤフ首相に別れを告げるトランプ米大統領(右)=米国・ワシントンDC](C)AFP=時事

 米東部時間の6月21日、ドナルド・トランプ米大統領が、イランの核施設に対する攻撃に踏み切った。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にしてみれば、宿願とも言えるアメリカの戦争への引き込みが成功した形だ。

 トランプ大統領の就任から5カ月、導入してきた政策の数々が大きな波紋を呼んできた。だがその多くは、対ウクライナ政策の転換から高関税にいたるまで、就任前から実施を予定してきたものだ。それらと比べると、今回のイラン攻撃は、いささか様相が異なる。

 確かに、イランの核兵器の開発を阻止するという目標は、就任前から、さらに言えば第一次政権の時から掲げてきた。ただ、今回の攻撃は実態として、イスラエルのイランとの戦争に加担する形で行われた。ネタニヤフ首相は繰り返し、イランの「体制転換」を目指す姿勢を明らかにしている。「体制転換」を目指した戦争は、トランプ政権にとって、タブー中のタブーだ。「MAGA(Make America Great Again)」の思想に共鳴したトランプ大統領の岩盤支持層は、海外での軍事介入に倦み疲れた層が、中核になっている。イラン攻撃は、その岩盤支持者層の中核に裂け目を作り出す可能性をはらんでいた。

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