アメリカはインドにとってマンダラにおける貴重な「中立国」[クアッド外相会合に参加したインドのジャイシャンカル外相とルビオ米国務長官=2025年7月1日、アメリカ・ワシントンDC](C)AFP=時事

 4月22日にカシミール地方で起きたテロを契機に激化した印パ対立は、5月7日にインドがパキスタンに報復攻撃を実施したことで世界的に大きな注目を集めた。インドは、パキスタン領および同国が実効支配するカシミールにおける過激派勢力の拠点が標的であり、民間人や軍は攻撃していないと主張した。だがパキスタン側も対抗し、インド側に反撃した。攻撃の応酬による事態のエスカレートが懸念された——両国とも核保有国である——が、5月10日に停戦が合意され、結果的には戦闘は4日間で終結した。

 今回の印パ対立をめぐり、多くの論考が発表されている。双方とも断固とした姿勢を示す一方で、全面戦争、すなわち「第4次印パ戦争」にまで発展することは望んでいなかったという両国の「本音」を指摘するもの、戦闘機やミサイルといった両軍の装備品の性能に焦点を当てたもの、テロや今回の戦闘の主な舞台となったカシミールについて取り上げたものなどである。こうしたさまざまな論点は複雑な問題の諸相を明らかにするものであるが、本稿では「マンダラ的世界観」という視点からアプローチする。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。