近年の軍事理論に関する議論はAIに集中している[大規模AIモデルのインキュベーターを視察する習近平国家主席=2025年4月29日、中国・上海](C)EPA=時事/XINHUA/Wang Ye

本稿は、米国国防大学(National Defense University)が発行する論文誌Joint Force Quarterlyの第116号(2025年1月)に掲載された論稿「Is the PLA Overestimating the Potential of Artificial Intelligence?」を加筆修正したものである。

1.はじめに

 中国は、人工知能(AI)を利用して世界一流の軍隊を建設すると表明している。彼らは、AIに基づく兵器システムを利用する概念を「智能化」と表現しており、それは近年の中国の軍事改革の焦点となっている。習近平は、2022年10月16日の中国共産党第20回全国代表大会において、「智能化」という語に3回言及するとともに、「人民解放軍をより迅速に世界一流の軍隊に高める」と表明した1。智能化は2017年の第19回党大会にはなかった概念であり、その後2019年の国防白書において初めて登場した。中国の研究者たちは、AIを活用した人民解放軍の智能化により、「米軍を追い越すことができる」と主張している。

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