「民主党政権」への“フレンドリー・アドバイス”

執筆者:スティーブン・ボーゲル2009年9月号

今回の総選挙の後、日本にとって滅多にない「チャンスの扉」が開く。民主党がこれを活用できる時間は限られている。[バークレー発]八月三十日の総選挙の後に樹立されるであろう民主党主体の日本の新政権は、内政・外政ともに日本の政治を大きく変革するまたとないチャンスに恵まれることになるだろう。 そこで、ささやかながら、民主党政権が「すべきこと」と「してはならないこと」をリストアップしておきたい。すべきこと――民主党のアイデンティティ確立 民主党が政策面における自民党との違いを明確にし、「マニフェスト」で政策の細目を広く一般に知らしめる努力を重ねてきたことは、多くが認めるところだろう。実際、民主党のマニフェストには、非常に具体的な提案が盛り込まれている。 しかしながら問題は、「民主党の大局的な政策は自民党と抜本的にどう違うのか?」という最も重要な問いに、答えを示していないことだ。マニフェストには、個別具体的問題に対する具体的提案が掲載されている。だが、「政治哲学」は示されていない。 私の考えを言うならば、答えはきわめて単純なものだ。自民党の政策ラインは平均的有権者の考えの「やや右側」にある。だとするならば、民主党は自民党の「やや左側」に軸足を置けば良い。すなわち、内政では社会保障の拡充を強調し、外交では国際主義の立場に立つのだ。

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