「777」シリーズの最新機種も大幅な開発遅延が続いている[ボーイングのエバレット工場=2024年6月26日、アメリカ・ワシントン州エバレット](C)AFP=時事

 2018〜19年の「737MAX」連続事故から債務超過転落、2人の最高経営責任者(CEO)の解任、さらに7週間にわたる長期ストライキへと続いた米ボーイングの危機。その後遺症からようやく立ち直りかけた同社にまた衝撃が走った。2025年6月12日、インド西部アーメダバードで乗客・乗員242人を乗せた「ボーイング787」型機(エア・インディア171便)が墜落。1人の生存者を除く乗客・乗員241人と墜落地周辺にあった医科大学や市民病院の関係者ら19人が犠牲になった。

「787」は愛称“ドリームライナー”。2011年に初号機が就航し、今年5月末現在納入機数は1189機に達し、948機の受注残を抱える。初号機就航から14年間で初の墜落・死亡事故だが、「787」は開発段階から当時の経営陣によって大幅なコストダウンを強いられ、そのために大掛かりな生産ラインのアウトソーシング(外部委託)を導入したことでトラブルが続出したことは本特集前回〈米航空産業編[上]――ボーイングに滴り落ちなかった新自由主義の蜜〉で触れた。

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