トランプ政権は原則として対外援助をほぼ廃止したい意向を持つ[複数の国連機関から米国を脱退させる大統領令に署名するトランプ大統領=2025年2月4日、米国・ワシントンDC](C)AFP=時事

 国際連合の諸機関が、大幅な予算カットに直面し、大規模な活動縮小と人員削減を始めている。国連本部にもその波が押し寄せてきており、改革が必至となっている。これは直近では、ドナルド・トランプ米大統領の国連向け予算の大幅削減の方針によるものである。しかしその背景には、米国をはじめとする伝統的なドナー国の財政赤字や経済停滞などの様々な構造的な要因がある。個人の志向による一過性の現象と片付けるわけにもいかない。

 機構改革はまだ現在進行中の話であり、最終的な結果が具体的にどうなるかは、まだわからない。また大幅な活動縮小が、国際援助の現場に与える具体的な影響の全体像が見えてくるのも、しばらく先になるだろう。しかし大きな衝撃になることだけは間違いない。
そこで本稿では、衝撃の性質を整理し、現時点での国連側の反応も紹介しながら、背景にある事情を概観することを試みる。今後の具体的な影響をより的確に把握していくためにも、構造的な事情の理解は必須だ。

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