「蜘蛛の巣作戦」と「ライジングライオン作戦」は、軍事やインテリジェンスコミュニティの世界にも、汎用デジタル民生技術とそれを扱う技術者が深く浸透していることを示した[ドローン対策の軍事訓練に参加するウクライナ兵](C)2025年5月30日

 ウクライナ保安庁(SBU)による「スパイダーウェブ(蜘蛛の巣)作戦」の余韻が冷めやらぬうちに、イランの首都テヘラン近郊に配置されたミサイル発射装置を狙ったイスラエル諜報機関モサドによる「ライジングライオン作戦」が行われた。筆者は「蜘蛛の巣作戦」の検証を続けている最中で同種の攻撃が行われたことに驚いたが、Xで公開された画像から両作戦とも同じ「汎用デジタル民生技術」が使用されたことを確認して合点がいった。

 一方で、一部を除いた大多数の国内メディアは単なる「ドローンによる遠隔攻撃」として報じたのみで、使用された技術については詳しく触れず、政治的な情勢を扱うことに終始した。2つの作戦で使用された技術の根幹が誰でもアクセス可能なオープンソースソフトウェア(OSS)である点や、ドローンの遠隔操作に携帯電話回線という民間インフラが使用された点はあまり注目されなかった。さらに言えば、現代戦の有り様を変え続けている汎用デジタル民生技術がテロに使用されるリスク、といった議論はほとんどなかった。

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