フランスのインド太平洋戦略――米中競争下で目指す「第三の道」
2025年8月12日
フランスは海外領土の防衛能力の向上を目的に、インド太平洋に向けた空海戦力投射演習を実施している[「ペガーズ24」でオーストラリアに到着したラファール戦闘機](C)フランス航空宇宙軍
米国・中国間の競争により、インド太平洋への注目が世界的に集まる中、フランスも同地域を重要視している。フランスは他の欧州諸国と異なり、インド洋と太平洋に海外領土を有することから、インド太平洋諸国の一員として、安全保障面でも積極的な関与を続けている。
近年の動向では、フランスは「ミニラテラル」と呼ばれる小規模な多国間協力の強化や、パートナー国への武器輸出に注力している。本稿では、フランスのインド太平洋戦略の特徴を考察するとともに、インド太平洋における日仏協力について展望する。
新たなパートナーに加わるUAE
フランスは欧州諸国の中で最も早く、2018年にインド太平洋戦略を策定した。アフリカ東部からオセアニアまで広がるインド太平洋には、フランスの海外県・地域圏(レユニオンやマヨット)や海外共同体(ニューカレドニアやポリネシア等)が点在し、2022年時点で約168万人の住民が居住している(出所:仏国立統計経済研究所)。これらの海外領土は、世界第2位の広さを誇るフランスの排他的経済水域(EEZ)1100万平方キロメートルのうち、大部分の900万平方キロメートルを占めている。
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