(あまりにも早い)中間選挙展望

執筆者:冨田浩司2025年8月13日
共和党はOBBBAに対する「金持ち優遇反発」との反発を織り込み成立を急いだ[法案可決後、記者団の取材に応じる共和党の上院幹部議員=2025年7月1日、アメリカ・ワシントンDC](C)EPA=時事

「大きくて、美しい、ひとつの法案(OBBBA)」が成立した後、米国の政局の焦点は来年秋の中間選挙に移りつつある。先日、本コラムの論考1でも指摘したとおり、OBBBAは公約実現のために必要な財政的措置を一括して実現することを目指したものであり、中間選挙までに打ち出すべき政策イニシアティブはこの法案をもってほぼ出し切ったと見て良い。

 とは言え、政治において一寸先が闇であることは、米国も日本と変わりはない。今後1年余りの間に政局を左右する様々な出来事が生起するはずだ。そうした意味で選挙の結果を占うにはあまりにも時期尚早であるが、中間選挙をめぐる思惑が今後の政治の流れを方向付けるとすれば、選挙の見通しについて考察を深めていくことが不可欠である。本稿では、過去のトレンドや政権と各政党を取り巻く状況を手掛かりにして、選挙に向けた大きな方向性について考えてみたい。

「政権与党に不利」が当てはまらない

 まず、中間選挙の結果、特に、下院選挙の結果は政権与党にとって不利であることはこれまでの経験則からも明らかである。有権者にとって中間選挙は、政権交代の憂いなく、政治の現状への不満を示す機会である。実際、第二次大戦後行われた20回の中間選挙において、政権与党が議席を増やした例は2回に過ぎない。しかも、これらの選挙は、いずれも特異な政治環境の下で行われたものだ。

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