先の参院選の結果は100年前の歴史や現在の国際情勢と深く連動している[参政党の候補者ポスター=2025年7月18日、北海道](C)時事

「肌感覚」を掬い上げた新興政党

 今回の参院選の結果、とりわけ自民党の敗北をどう評価するかは極めてむずかしい。表面的なことは何とでも言える。自民党政治に飽き飽きした有権者が自民党以外の選択肢を求めて国民民主党に投票した。あるいは石破政権の失策によって保守・右派支持者離れがおきて参政党に票が流れた。さらにはSNSの急激な台頭で、若者が新興政党を支持し、自民党はすっかり年寄り支持政党になってしまったなどである。海外に眼をむけると、欧州ではすでに極右ポピュリズムが台頭しており、わが国にも、いよいよ「日本人ファースト」を掲げる政党が登場してきた。ドナルド・トランプの選挙戦術を研究し、戦略に組み込んだともいわれる右派勢力を前に、自民党は大きく票をえぐられた……。

 いずれも事柄の一面をとらえており、間違ってはいない。だが、今一つすっきりしない。

 私たちは日ごろから、モヤモヤとした違和感を抱えながら生きている。その違和感が言葉でズバっと表現されると、そうだ! という気持ちが沸き起こり、自分事を言ってくれているから支持したくなる。もっともわかりやすいのは「手取りを増やす」を掲げた国民民主党であり、いくらSNS戦略がうまかったからと言って、心を突き刺す言葉がなければ、ここまで支持を得られなかったであろう。その点からすると、参政党は、しばしば極右政党との批判をうけ、また移民に警戒感を隠さないが、にもかかわらずの躍進は、私たちの違和感をうまく掬い取ったからだと思われる。

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