トランプ米大統領は、中国の習近平氏との対面会談にも強い意欲を示している[米露首脳会談後、プーチン大統領との共同記者会見に臨んだトランプ大統領=2025年8月15日、アメリカ・アンカレジ](C)EPA=時事 / GAVRIIL GRIGOROV / SPUTNIK /KREMLIN POOL
ウクライナ停戦の行方が注目された8月15日の米露首脳会談は、ドナルド・トランプ米大統領から見れば不発だったと言えそうです。共同会見でウラジーミル・プーチン露大統領は、「危機の根本原因がすべて除去され、ロシアの正当な懸念がすべて考慮され」なければならないと従来の主張を繰り返しました。いわば大国同士の“ボス交”で解決しようというトランプ大統領の思惑は、ひとまず空振りに終わったようです。
ただ、第2次トランプ政権発足後、国際関係に大国主導で動く部分が増えているのも多くの識者が指摘するところ。この米露首脳会談を国際社会の力学で捉え直せば、両国の関係が安定化へ向かうきっかけにもなりえました。その米露接近を強く警戒したのが、中国です。
中国の習近平国家主席は米露首脳会談に先立つ8月8日、プーチン大統領と電話協議を行い、中露の結束を確認したと伝えられます。米国との競争的対立関係を優位に進めたい中国は、ロシアとの友好関係を重要な外交的“梃子(テコ)”にしていますが、この構図が壊れることを懸念したと考えられます。
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