この夏の防衛省トップ人事には陸海空自衛隊と背広組それぞれの思惑がにじむ[左から大和太郎防衛事務次官、内倉浩昭統合幕僚長、南雲憲一郎統合作戦司令官](いずれも防衛省HPより)
「余人をもって代えがたい」はずの統幕長が8月1日に退任
自衛隊制服組トップとして2年4カ月間、日本防衛の中枢を担った吉田圭秀統合幕僚長(62歳)が8月1日付で退任した。吉田氏は自衛官としては稀有なコミュニケーション能力の持ち主で各国軍トップと良好な関係を築いてきただけに、後任の内倉浩昭前航空幕僚長(60歳、防大31期)にかかるプレッシャーは大きい。
「今日まで任務に邁進することができたのは、ひとえに、全国および世界各地で巡り会えた大勢の方々のお力添えの賜物であり、この場を借りて篤く御礼を申し上げます。ありがとうございました」
吉田氏は7月29日に開いた退任記者会見の冒頭、やや緊張した面持ちでこう述べた。
自身が強調するように各国軍との関係は折り紙付きだった。任期中にこなした国際会談はオンライン形式も含めて実に200回以上。これは4~5日に1回のペースだ。特に米軍とは「かつてない高み」(吉田氏)に到達し、高官から「ヨシ」の愛称で親しまれていた。
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