「安保」「環境」で米日同盟を深化させよ

執筆者:ケント・カルダー2009年10月号

着任前のルース米駐日大使にブリーフィングをしたオバマ政権の「知恵袋」が、鳩山政権誕生に伴う、新たな日米関係のあり方を説く。[ワシントン発]四代続く名門政治一家に育った大富豪の鳩山由紀夫氏と、非エリートの中流家庭に育ったバラク・オバマ大統領――日本の新首相と就任八カ月の米大統領の生い立ちは、これ以上ないほどかけ離れている。 政治的にも、沖縄の在日米軍基地再編や海上自衛隊によるインド洋での給油活動の延長問題など、安全保障をめぐって、日本の新政権はアメリカの政策から離れようとしているかに見える。加えて、ロシアや中国に対する見方にも大きな違いが生まれようとしている。 それでも、二人は、従来どちらの国のリーダーにもなかった共通点で結ばれている。それは、コスモポリタニズム(世界主義)である。鳩山氏はスタンフォード大学で学んだ五年間、アメリカで暮らした。奇しくもジョン・ルース新駐日米大使の母校である。オバマ大統領もまた、幼少期の四年間をインドネシアで過ごし、その後もハワイで育った。太平洋沿岸諸国と強い繋がりをもつ、アメリカで最も多様性のある州だ。少年時代に日本を訪れたオバマ氏は、今も鎌倉への旅を鮮明に記憶しているという。

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