「脱官僚」のシンボル・国家戦略局の形が見えないうちに、民主党の大方針は固まった。これで“本丸”の公務員制度改革は進むのか。 真夏の総選挙は、民主党の歴史的大勝に終わった。 敗軍の将・麻生太郎首相は選挙翌日、「自民党に対する積年の不信や不満」を敗因に挙げた。つまり、自らの責任ではなく、小泉・竹中路線の行き過ぎた市場原理主義、安倍・福田両氏の相次ぐ政権投げ出しなどが要因、と言いたかったのだろう。 しかし、この分析は直ちに覆される。選挙後間もなく行なわれた産経FNN世論調査で、自民党の敗因として最も多く挙げられたのは「麻生首相の判断や言動」だったのだ。漢字が読めない、発言がぶれるなどの失態があった。だが、より本質的には、政策は官僚に任せきり、昔ながらの関係団体バラマキ予算を作りあげ、官僚の言いなりに天下りは容認、といった政治姿勢が国民の不信を増幅させたのだろう。 小泉改革への怨嗟が足を引っ張ったとの見方も一面的だ。たしかに、格差拡大、地方置き去りなど、負の側面への批判は強かった。しかし、官僚=族議員=特定業界の利権構造に切り込み、古い自民党政治に終止符を打つ取り組みに関しては、国民の多くは、むしろもっと進めてほしかったはずだ。小泉改革が問題だったのではなく、負の側面に有効に対処できないまま、正の側面は一気に逆行させた麻生自民党の無節操ぶりこそ、最大の問題だったのだ。

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