ベッセント財務長官はFRBの根幹的な見直しに向けて論陣を張り始めている(C)EPA=時事
雇用統計(NFP)、リーマン・ショック後で最大割合の下方修正
「Too Late(遅過ぎ)」と言えば、ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のニックネームだ。ドナルド・トランプ大統領は1月の就任時から9月11日まで、少なくとも58回こう呼んだ。パウエル議長やFRBが利下げに急がない姿勢を揶揄している。
当初はトランプ氏の「口撃」を受けるパウエル氏に同情的だった市場関係者の間で、変化が起きている。米労働市場の減速が鮮明となっているためだ。
8月の雇用統計・非農業部門就労者(NFP)は前月比2.2万人増と小幅な増加にとどまった上、過去2カ月分の修正では、6月分が1.3万人減と、2020年12月以来のマイナスに転じた。雇用統計は、米労働統計局(BLS)が対象月の12日を挟むサンプル週の終了から3週目の金曜日(概して翌月第1金曜日)に速報値を発表、その後、修正される場合がある。6月分は速報値で14.7万人増だったところ、1.3万人減と劇的に下方修正された結果、市場に衝撃を与えたのは言うまでもない【チャート1】。
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