ドーハ空爆に対してトランプ米大統領は不満を露わにした[イスラエルを訪れたマルコ・ルビオ米国務長官(奥)とともにユダヤ教の聖地「嘆きの壁」に立つネタニヤフ首相(手前)=2025年9月14日、イスラエル・エルサレム](C)EPA=時事
最近のイスラエルによるイラン、イエメン、ガザなどにおける一連の軍事行動は、イスラエルの敵との交渉の可能性を狭めるばかりではなく、交渉相手そのものを完全に排除しようとしていることを示している。特に今回9月9日に、人質解放を目指した交渉を頓挫させうるにもかかわらず、イスラエルが仲介者であるカタールにおいて、米国、ドナルド・トランプ大統領本人への十分な事前相談もなくハマース幹部を狙ったことは、こうしたベンヤミン・ネタニヤフ首相の意図をよく教えてくれている。
そもそも、パレスチナにおけるハマースの台頭の最大の要因は、PLO(パレスチナ解放機構)主流派ファタハを弱体化させ、パレスチナ国家樹立の可能性を排除・遅延させるため、イスラエルがカタールの協力を通じて行ってきた事実上の支援にある(注:例えばニューヨーク・タイムズ記事の指摘を参照“‘Buying Quiet’: Inside the Israeli Plan That Propped Up Hamas”)。イスラエルのドーハ空爆は、2023年10月7日以降、こうした不都合な真実がイスラエルにとって有害なものとなり――無論、十分に計算に入れてはいたであろうが――完全に裏目に出たことに起因している。
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