第4部 ヴィクトリヤの軌跡(1) 24時間ジャーナリスト
2025年9月20日
SNSなどを利用したプロパガンダが影響力を強めるいま、攻撃する側にとって、ジャーナリストは現場から排除したい邪魔な「標的」になっている[ヴィクトリヤ・ロシナの死亡通知が届いた2024年10月、同僚たちは写真を掲げて彼女を偲んだ=ウクライナ・キーウ] (C)AFP=時事
戦場でかつて、ジャーナリストは傍観者と位置づけられ、時には歴史の証言者として敬意も払われる存在だった。「PRESS」の表示を掲げることは、安全の確保にも結びついていた。先人の長年にわたる活動がその地位を築いたからであると同時に、双方の当事者にとって、メディアを味方に付けること、自らの正統性を広く伝えてもらうことが、有効な戦略となっていたからでもある。
その慣行が崩れ始めたのは、1つには国際テロ組織などノンステートアクター(非国家主体)が紛争にかかわるようになり、国家同士の取り決めが通用しなくなったからだろう。もう1つには、SNSによる発信やプロパガンダが影響力を強め、「メディアを敵に回しても構わない」と紛争主体が考えるようになったからでもある。その傾向は、ロシア・ウクライナ戦争やハマス・イスラエル紛争で、特に目立つ。攻撃する側にとって、ジャーナリストは今や、自分たちの言うことを聞かない邪魔な存在、現場から排除したい対象であり、つまり「標的」なのである。
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