新「EPA戦略」実現への道筋――トランプ2.0が壊す自由貿易を日本はどう立て直すのか
2025年9月29日
トランプ米政権が「ターンベリー体制」の構築を目指す中で、日本には米国への経済的依存度の低減を図ることが求められる[関税協議で合意したフォンデアライエン欧州委員長(左)とトランプ大統領(右)=2025年7月27日、英北部スコットランド・ターンベリー](C)AFP=時事
休止符が打たれた日米関税狂騒曲
2025年9月4日、日本政府・企業が待ち望んでいた日米関税合意に関する大統領令が発出された。続いて、関税に関する「共同声明」、投資に関する「了解覚書」も公表され、4月からの米国による対日関税賦課に関する大騒動は一旦区切りを迎えた。
25%への引き上げを通告されていた相互関税は15%に、最恵国待遇(MFN)税率2.5%に25%の追加関税を上乗せした27.5%が課せられていた自動車関税も15%に引き下げられた。相互関税の引き上げと自動車関税の継続という最悪の事態を免れたことで、日本国内では安堵の声が広がった。
もちろん、15%という関税率は日本企業に打撃を与えるのに十分高率で、世界貿易機関(WTO)ルールにも反する理不尽なものである。しかし、「タリフマン」を自称するドナルド・トランプ米大統領という政治的現実を踏まえれば、日本が勝ち取った条件は望み得る中で最良に近いものと言えるだろう。
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