自民党総裁・高市早苗のパラドックス

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執筆者:フォーサイト編集部2025年10月4日
敬愛するサッチャー元英首相の行動力に倣えるか[新総裁選出後に開かれた両院議員総会で他の候補者たちと健闘をたたえ合う高市氏=2025年10月4日、東京・永田町](C)EPA=時事

 自民党総裁選は、多くの予想を裏切って高市早苗前経済安全保障相の勝利となりました。予測市場プラットフォーム(賭けサイト)として有名な米国の「ポリマーケット」には「Next Japanese Prime Minister」という項目が立っており、これも直前まで「小泉進次郎の当選」が確率8割以上と出ていました。

 麻生太郎元首相(自民党最高顧問)が「高市支持」を打ち出し、決選投票の行方を決めたことが決定打――というのはいわば2次的な要素であって、最大の要因は党員・党友票の動きです。2021年の総裁選では党員・党友票の2割弱獲得に止まった高市氏は、今回、4割を集める首位でした。党員・党友の意向に議員が従った格好です。

 注目すべきは、高市氏の何を党員・党友が支持したのかです。7月の参院選での参政党の躍進が見逃せません。自民党の地方支部党員の間では、「日本人ファースト」を掲げる参政党に共感を示す層が顕著に増えていたと指摘されます。掲げる政策テーマに鑑みて、ここに最も親和性が高いのは、やはり高市氏と見るべきでしょう。自民党は保守基盤の侵食に直面し、社会の保守観のトレンドに最も親和性の高い候補を選ぶことで、危機を乗り切ろうとしたようです。

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