海上自衛隊は来年度防衛費で海自最大の艦艇「ヘリコプター空母型護衛艦」の建造を目指すことになった。背景には消音技術を手に入れて「探知不能」になったとされる中国海軍の潜水艦の脅威がある。 海自が建造を目指す新型艦は、甲板全体が平らな全通甲板を持ち、外観は空母そのもの。基準排水量一万九千五百トン、全長二百四十八メートルで、似た外観のヘリ空母型護衛艦「ひゅうが」より、さらに一回り大きい。建造費は一千百六十六億円。 ひゅうが型が、哨戒ヘリなど四機を搭載するのに対し、新型艦は九機に倍増。多くの哨戒ヘリが必要となる理由は、原潜を含めて六十三隻(海自は十六隻)もの潜水艦を保有する中国海軍に対抗するためだという。 海自幹部は「中国の潜水艦は最近五年間で倍に増えた。なかでも警戒すべきは、十二隻保有するキロ級といわれるロシア製のディーゼル潜水艦。特に改キロ級の636型はまったく音が探知できない」と明かす。 海自は、これまで音を出さずに相手の音を探知するパッシブソナーを使ってきたが、今後は音を出し、戻ってくる音を探知して位置を特定するアクティブソナーを多用する方針だ。ただし、アクティブソナーを護衛艦が使えば、自らの居場所を相手に教え、魚雷の餌食になりかねない。そこで哨戒ヘリや哨戒機を活用し、上空から落とすソノブイ(ソナー内蔵浮標)によって潜水艦を探知する。

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