「サナエノミクス実行内閣」スタート地点の市場環境は「大混乱シナリオ」を遠ざけている
2025年10月22日
AI関連投資は日本でも成長の原動力となりつつある[初閣議を終え、記念撮影する高市首相(前列中央)と閣僚ら=2025年10月21日、首相官邸](C)時事
政権発足初日からフルスロットルの発進である。片山さつき財務相には日本版DOGEというべき「租税特別措置補助金見直し担当大臣」を兼任させ、厚生労働相には「労働時間の規制緩和検討」を指示。法務相には「不法滞在対策の強化と出入国の管理徹底」を求めた。国家安全保障担当の首相補佐官には尾上定正元空将を起用し、さっそく藤田文武日本維新の会共同代表が「素晴らしい人事」と呼応する。
石破茂政権が残した負の遺産というべき日米関税交渉については、尻拭いの意味合いも兼ねてだろう。赤沢亮正経済財政・再生相を経済産業相に横滑りさせる。「おめでとう!」「ワンダフル!」とハワード・ラトニック米商務長官からはさっそく電話が入る。「ラトちゃん、やさし」と喜べるかどうかは別として、赤沢氏が人質にとられたことで、石破前首相は通商問題で新政権を批判できなくなる。
『世界を揺るがした10日間』。1917年のロシア十月革命を活写した、米国人ジャーナリスト、ジョン・リードのルポルタージュである。その表題をもじるならば、10月4日の高市早苗自民党総裁誕生から、21日の首相就任までの「日本を揺るがした2週間半」となろうか。
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