山田重夫駐米大使(右)と、新たにNSS局長に任命された市川恵一氏(在アメリカ日本国大使館および内閣官房のホームページより)

 高市早苗首相は新内閣発足に合わせて、外交・安保政策の司令塔である岡野正敬国家安全保障局(NSS)局長(1987年外務省入省)を退任させ、一度は駐インドネシア大使に任命されたはずの市川恵一前内閣官房副長官補(1989年外務省入省)を後任に充てた。永田町筋によれば、外相に復帰した茂木敏充氏が局長交代を高市首相に働き掛けた可能性があり、「岸田・茂木戦争」の余波といわれる。

9カ月で交代は異例

 岡野氏は今年1月に局長に就任しており、9カ月での交代は異例だ。市川氏も10月16日付で駐インドネシア大使の辞令が発令されたばかりで、これも急ごしらえの人事だった。
この異例人事について、『読売新聞』は首相周辺の話として、「適任と見なしたら多少、強引でも起用する。これが高市流」と報じた。

 ただし、外相や防衛相の経験がない高市首相は外務官僚について面識も知識もない。どうやら、岸田文雄元首相に近い岡野氏を嫌う茂木氏が高市首相に働き掛けた模様で、2023年夏の外務次官人事をめぐる角逐が背景にあるようだ。

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