AIおよび情報化の分野では米中を中心に世界が鎬を削るが、それはエネルギードミナンスをめぐる競争とも密接に関係する[中国のディープシーク(左)と米チャットGPTのアプリのアイコン](C)時事

エネルギードミナンス供給ポテンシャルを「支配力」に転化

 米国ドナルド・トランプ大統領が標榜する「エネルギードミナンス」は、今日の国際エネルギー情勢を読み解くキーワードの一つとなっている。この言葉は、トランプ政権第1期から使われており、トランプ政権のエネルギー政策を象徴するものであるともいえる。しかし、実はこの「エネルギードミナンス」に加え、異なる分野でのエネルギーに関連した2つの「ドミナンス」の問題が世界に浮上し、お互いが鬩ぎあう中で世界のエネルギー地政学に影響を及ぼす現実が浮かび上がっている。

 まず、第1の「ドミナンス」だが、明確な定義が為されているわけではないものの、筆者の理解するところ、トランプ大統領の「エネルギードミナンス」とは、「米国が保有する膨大なエネルギー供給ポテンシャル、とりわけ石油とガスの供給ポテンシャルを活用し、それをパワーの源泉あるいは支配力として用いることで、米国の経済的繁栄および米国の国益最大化を図ること」ということではないか、と考えられる。

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