欧州航空産業編[上]:エアバス「ボーイング超え」でも消えぬサプライチェーンの足枷
2025年10月30日
苦境の萌芽は第2次世界大戦の終戦後まで遡る[ラガーディア空港に到着したジェットブルー航空のエアバスA320(奥)。サウスウエスト航空のボーイング737(中)とアメリカン航空系アメリカン・イーグルのエアバスA319(手前)が見える=アメリカ・ニューヨーク](C)AFP=時事
10月7日、欧州エアバス[本社:オランダ・ライデン]のナローボディ(単通路)サイズの中小型機「A320」(標準座席数約150〜220席)シリーズの累計納入機数が史上最多を記録したと英ロイター通信が報じた。英航空分析会社シリウム[本社:ロンドン]の統計によると、1988年4月に就航したエールフランス向けの初号機から、サウジアラビアの航空会社フライナス[本社:リヤド]向けに納めた直近の「A320neo」まで、37年6カ月間の累計納入機数が1万2260機に到達。
これまで最多記録を維持してきた米ボーイング[本社:バージニア州アーリントン]の「737」シリーズ(初号機運航開始1968年2月、約110〜210席)を上回った。発足から半世紀余りを経て、エアバスはようやく悲願を達成した。
第2次世界大戦が終わり苦境に転落
ボーイングなどの米航空機メーカーに対抗する目的で欧州各国の政府や産業界が「エアバス・インダストリーGIE」(GIEはフランス語のGroupement d'Intérêt économique〈経済的利益団体〉の略)という名称のコンソーシアム(企業連合)を立ち上げたのは1970年12月。当時ヨーロッパの航空機産業は未来像を描けない悲観的な状況下にあった。苦境の萌芽は第2次世界大戦の終戦後まで遡る。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。