トランプ「麻薬ボート攻撃」が露わにする「カリブ地域の分断」
2025年11月4日
カリブ海の公海上で米軍に攻撃された麻薬密輸船とされる船[2025年9月2日、トランプ大統領のSNSより](C)時事
カリブ地域を巡る情勢が緊迫化している。14カ国からなるカリブ共同体(カリコム)の加盟国においては、急成長の真っ只中にあるガイアナ、そしてジャマイカで9月初旬に総選挙が実施され、両国とも与党が勝利を収めた。4月末にはトリニダード・トバゴ(TT)でも総選挙が行われ、野党が10年ぶりに政権の座に返り咲き、スリナムでは5月の総選挙を経て7月に同国初となる女性大統領が国会で選出されるなど、2025年は域内大国の選挙イヤーに当たる。しかしそれ以上に高い関心を集めているのは、米トランプ政権による南カリブ地域への米海軍部隊の派遣だ。
8月、トランプ政権が、南米の麻薬組織の壊滅、違法な麻薬・銃器の取引の防止を目的として、南カリブ海域に海軍部隊を派遣すると報道された。9月上旬までに水上艦艇8隻、潜水艦1隻などとともに、約4500名の関係者(このうち約半数は米海兵隊のエリート部隊の構成員)が派遣された。また、米国は10月26日から30日にかけてミサイル駆逐艦をTTに派遣し、米海兵部隊とTTの防衛部隊の間で共同訓練を実施した。
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