フランス政界の様々な野心が剥き出しになった[首相辞任を発表するルコルニュ、4日後に再任される=2025年10月6日、フランス・パリ](C)EPA=時事

 

揃って評価を下げたマクロン批判者、逆に好感度を上げたのは?

 結束が揺らいだのは、大統領与党連合にとどまらない。右派「レピュブリカン」も、一致団結にはほど遠い状態だった。

 党首ルタイヨら党内の主流は、連立政権を離脱することで吹っ切れて、マクロン批判を展開した。ただ、「レピュブリカン」から入閣した4人のうち、ルタイヨを除く3人は彼に従わず、内閣に残留する道を選んだ。党は10月10日、内閣に残留する人の党籍を剥奪する決定を下したが、3人は翻意することなく、最終的に第2次ルコルニュ内閣にも参加した。

 シャルル・ドゴール(1890-1970)の流れを引き継ぎ、シラク、ニコラ・サルコジ(70)両大統領の与党だった「レピュブリカン」は、支持層を右翼に奪われるなどで近年衰退ぶりが激しく、国民議会でも右翼、左派左翼、大統領与党連合に続く第4勢力に過ぎない。それでも2024年にはバルニエ内閣を成立させたが、支えきれずに早々の崩壊を許してしまった。総選挙が実施されるとさらに議席を失う可能性が高く、政府に対して強い態度に出られない。その立ち位置も、中道に寄り過ぎると大統領与党連合に吸収されかねず、かといって強硬路線に走ると今度は右翼と区別がつかなくなる。このように窮屈な立場のまま野党としてやっていくぐらいなら、内閣に参加して権力を行使した方がいい。3人の態度には、そのような計算が働いていただろう。実際、党自体も強硬派と穏健派との間で方針が定まらず、迷走を続けていた。

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