アラブ諸国だけでISFを形成するのは、現実には極めて困難だ[ガザ和平サミットで記念撮影に臨む(前列、左2人目から)トルコのエルドアン大統領、エジプトのシシ大統領、米国のトランプ大統領、カタールのタミム首長、ヨルダンのアブドラ国王ら=2025年10月13日、エジプト/シャルム・エル・シェイク](C)

ガザの経済開発:希望者は自由に出国・帰還できる?

 ガザのリゾート地化のアイディアを披露して批判を招いたことがあるトランプ大統領は、ガザの経済開発に多大な関心を持っているようである。「20項目和平計画」の文脈で言えば、経済開発は、ガザの人々を和平に向けた努力に進ませていくための動機づけとして期待されている。

10.トランプの経済開発計画に基づき、中東で現代的な繁栄都市を生み出してきた専門家を集めてガザ復興を推進する。国際機関が提示してきた投資・開発案も検討され、安全保障と統治の枠組みを融合させて雇用・機会・将来への希望を生み出す投資を誘致する。
11.特別経済区を設置し、参加国との間で特恵関税やアクセス条件を交渉する。

 ガザの経済開発が、論争を招く話題であるのは、望ましい政治的解決の道筋をないがしろにする態度が感じられるからだけではない。経済開発によってもたらされる利益を、アメリカやイスラエルなどのパレスチナ人以外の外国勢力だけが享受する仕組みになるのではないか、とも懸念されている。そして、イスラエルだけでなく、アメリカのトランプ政権も、ガザのパレスチナ人たちをガザから追い出そうとしているのではないか、という疑いを、かなり広い層の人々が抱いている。隣国のエジプトどころか、ソマリランドにパレスチナ人を送り込むための画策まで進められている、といった憶測まで流れた。そこで「20項目和平計画」は、疑念を払拭するために、次のように明記した。

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