台湾の武力制圧態勢を2027年までに整えるという中国にとって、強硬な威圧の背景には“期限が迫っている”との意識もあるだろう[衆院予算委員会で立憲民主党の岡田克也元幹事長(左端)の質問に答弁する高市首相(中央)=11月7日](C)時事
日中関係のさらなる悪化が懸念されます。台湾有事は日本の存立危機事態になりうるという、高市早苗首相の国会答弁があったのが11月7日。以降、ここまで中国は、自国民の訪日自粛や日本産水産物の輸入停止などの措置を打ち出しています。今後は日本人向け短期滞在ビザの制限やレアアース(希土類)の輸出制限なども想定されます。
海外メディアの反応としては、まずは「タカ派の高市首相にさっそく試練」といったものが多いのですが、もう一歩議論を深めた報道では、この状況に出口が見えないことが指摘されます。「中国には圧力をかけるためのルールブックがあり、彼らはその章をひとつずつ進めている」「中国側は脱出路を一切提供していない。問題は、ゲームの終わりはどのようなものかということだ」と書いていたのは米「ニューヨーク・タイムズ」紙。
貿易や企業活動など経済への影響のみならず、懸念のポイントはもう一つ。10月末の関税合意で中国と“暫定手打ち”をした米国です。米中間選挙までは休戦とはいえ、戦略的な競争関係が変わったわけではありません。日本が米国の利益を損なう形で中国との関係回復を図るようなら、ドナルド・トランプ大統領は黙ってはいまい――そう記しているのは米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌です。同誌の視点は、中国が先の関税合意で1年延期になったはずのレアアース輸出制限(中国は米国だけでなく全世界を対象にした枠組みにしています)を日本に対して取った場合、米国はどのような対応をするかということでした。
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